懐かしのRevirth作品再発

デビューを前後してとても仲良くしていた、そして機材の面とかでも色々と教えてもらったタカシ君a.k.a. Numb。
当時から生き残る数少ない戦友の一人。
デビュー前には彼が店長を務めるDJ Bar China Roseにて毎日のごとくDJをやっていた。
当時は何のしがらみもなく、ただただ東京でプレイすること、そこにお客さんがいようがいまいが全く関係もなく楽しくやっていたものだ。

そんな彼と立ち上げたレーベルがKarma Music。
当時としては革新的すぎたのかもしれない。
時代は日本産Hip Hopとドラムンベースとクラブジャズと呼ばれる音楽が芽吹き始めた頃。
当時としては本当に珍しいくらいアブストラクト、そんな音を作っていたNumb(当時はNumb Sutra)。
Numbが目指す方向性とピッタリきていたかと言えばそうでもなかったかもしれないけど、彼は喜んでCalmの作品に付き合ってくれた。

そしてNumbとCalmのそれぞれの12インチをリリースした後、Karma Musicのリリース先が暗礁に乗ってしまった。
そんなおり、まもなくタカシ君がCiscoでバイトを始めた。
彼は人脈作りに置いても超一流の人間だ。
彼がいなければ今の自分がなかったかもしれないくらい色々つなげてくれた。
タカシ君がつながったシスコ人脈からあのRevirthが産まれた。

当時は毎日毎日曲を聴かせあってはあーだこーだ言いながらのミーティングの日々。
きっとその先に何か革新的なものがあることを信じて。

とにかくNumb、そして彼の弟子?とも言うべきSaidrumらは革新的であった。
オリジナルであった。
そして圧倒的であった。

そんな彼らに触発され切磋琢磨し産み出された作品がRevirthからの最初の作品、Calm名義の『East West』だった。
自分の中ではとにかく精一杯だった。
日本人としてのアイディンティティを詰め込むことに努力した。
今でもあの苦労は忘れない。

それと平行して気持ちをよりストレートに、表現したいことを表現するというコンセプト、いやある意味ただの楽しみで作ったのがCalm名義の『Shadow of the Earth』。
何故か各方面から評判が良かった。
これもRevirth作品で少し知名度が上がったからかもしれないが、現在もデザインを手がけるFJDこと藤田さんの素晴らしいアートワーク、絵との出会いもここから。そしてFJDのジャケットあってのことだと思う。

そんでしばらくCalm名義で作品をリリースしていたが、それでもRevirthとは常に一緒だった。
Revirthが行った大規模なアンダーグラウンドパーティー「Earp」にも常に出演させてもらっていた。

そうこうしているまについに自分にも白羽の矢がたった。
心もスキルも少しは成長した自分にやっと声がかかったのだ、というかやっと自分にそんな余裕が出てきたのかもしれない。

本当に自由にやらせてもらった。
好き勝手、そんな言葉が合っている。
どんなことを言っても必ず実現させてくれた。
そして辛抱強く待ってくれた。
さらにビジネスにもしてくれた。
今の若い衆にはわかんないだろうな。
一生懸命出来る限りやりました、ではない常に真剣勝負の世界。
それぐらい音楽への情熱とアーティストへのリスペクト、足掛けじゃないよ、一生をここに捧げるという強い意志が伝わってきた。
だからこそOrganLanguageという作品をリリースすることができたかもしれない。

そのリリースパーティーというか東京で最初で最後かもしれないOrganLanguageのライブも「Earp」にて。
新宿リキッドルームには溢れんばかりの人!人!!人!!!。
700人でもかなりきゅうきゅうなのに1000人オーバーの人達。
他の出演者も豪華だった。
OrganLanguageのライブは当初3時くらいの予定だったが、押しに押して4時過ぎのスタート。
暴動寸前の怒りと、OrganLangugeの実態を早く観たいという期待をビシビシと感じるフロアだった。
当日飛び入りでボス君、ヨシエちゃんが参加してくれた。
バックにはいつものCalmメンバーに吉澤ハジメさん、Goroさん、Baku君など超豪華メンツ。
まとめるのが大変だったけど、Revirthスタッフの力でなんとか乗り切ることができた。

いつも常に色んな人達に支えられている。
特にRevirth/Cisco、そしてラストラムのクルーには本当にお世話になった。

話がだいぶそれちゃったけど、そのRevirthの作品が再発されました。
といっても結構なカタログ数なので、徐々に再発されることでしょう。
勿論現在は廃盤のものばかり。
もしかしたらよく使われる表現だけど、時代がやっと追いついた?
90年代初頭から後半にかけて、今のスピードでいけば再評価の時期に来ていると思う。


今回再発されたのはNumb『Numb』、DJ Klock『Sensation』、Taichi『Weekend Control』の3作品。
どれも今も変わらず革新的/確信的な作品ばかり。(それぞれ初CD化音源入り。)
Taichi『Weekend Control』にはOrganLanguage名義のリミックス入り。

そして一番の再発はやはりDJ Klockの作品だろう。
あまりにも早すぎた死。

本当に彼ぐらい正直にものを言う人はいなかった。
ときにはそれがネガティブに捉えられ、確執を産むことさえあったけれど、彼の問題はそこではなかった。
どうやったら素晴らしい音楽が一番になれるのか。
そのためには妥協は一切許さなかった。
彼が実家の方に引っ越してからも遊びに行ったり、色んなパーティーで一緒になったり。
彼は常にリスペクトを持って接してくれたし、だからこそ彼のストレートな意見を聴き入ることが出来た。

彼の新しい作品はもう聴くことができないのかもしれないが、彼の精神は伝わるかもしれない。
そしてこの再発アルバムのライナーノーツに書かれた、彼の奥さんユキちゃんによる言葉が本当に感動的だ。
本当は一番悲しむべき人なのに(いやきっと悲しいだろう)、そのことよりもKlockの音楽というものを、そして人間性を正直にしたためている。
何も着飾ってはいない、嘘はない、そして思い出と希望を正直に、だからこそ胸の奥にストレートに突き刺さる。
皆さんも是非手に入れて、そしてこのライナーノーツという名の心の処方箋を読んでみてください。
今の時代に失われた何かを思い出させてくれるはず。

最後に余談ですが、Calm『Silver Moon』に収録されている「時計は回り続ける〜Everlasting Klockwork」はDJ Klockに捧げた曲です。

DJ Klockの誕生日にあたる12/15に再発になったRevirth3作品を是非。
OrganLanguageの再発?
しばしお待ちくださいませ。



Numb『Numb』
61fyzloyrwl_ss500_

DJ Klock『Sensation』
51imlld6mtl_ss500_

Taichi『Weekend Control』
61alamlw-el_sl500_aa300_

calm